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金属系トタン屋根の塗り過ぎに注意!!
トタン葺き屋根の塗り替え塗装での問題点
金属系トタン葺き屋根の塗り替え塗装について
トタンは薄く圧延された鉄板の表面に亜鉛メッキを施した亜鉛メッキ圧延鋼鈑を指しますが屋根などに用いられているものは大抵これに焼付け塗装などを施されたカラートタンと呼ぶもので住宅建造物の屋根などへの使用は窯業系のカラーベストなどよりも古くから普及しています。屋根などへのトタン葺きは波トタンと桟葺きのものが最も普及しており塗装によるメンテナンスは一般的によく行われています。
塗り替える程にハガレる…古いトタン屋根
トタン葺き屋根は一定期間ごとの塗替えによる手入れが必要と考えられるお客様が多く、そのような住宅への施工も行っていますが厄介な問題にしばしば遭遇します。それは過去に一度若しくは複数回、ペンキでの塗り替え塗装を行われた屋根などの場合、既存面の旧塗膜がメクレ上がり、下地の亜鉛メッキ面が露出しているような箇所が沢山あることです。
このような現象はトタン板が亜鉛メッキ処理されていることによります。もともと鉄板を錆び難くする目的で施された亜鉛メッキ面はその特性上、塗料の付着性が非常に乏しいためにペンキなどの塗料を塗装する場合は亜鉛メッキ面専用の下地処理剤(ウォッシュプライマー)を塗布してから塗装されることとなっています。製品が比較的古いトタン板(20年以上前か?)ではこの方法により塗装されている場合が多いのです。
| 塗膜の浮きハガレの目立つトタン屋根 | ||
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このような部分は剥れかけている劣化塗膜を皮スキなどの工具を用いて取り除こうとすると周囲の既存塗膜まで際限なく剥れてしまい露出した下地のトタン部分は錆などの腐食が全く認められない状態のことがほとんどです。
ハガレ加減は比較的簡単に剥れるものとそうでない場合とあります。なかなかハガレない部分は手を付けず除去可能な部分のみをハガしていると一定時間後には(数時間〜一晩ていど放置すると)露出した亜鉛メッキ周辺の先ほどまでは剥がし難かった残存塗膜が簡単に剥がし易くなってくるという奇妙な状況に陥ります。
| トタン面既存塗膜の層間剥離 | |
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左写真は塗替え時に埃を残したままで施工したり足付け(目粗し)が不足するなど素地調整の不良や使用塗料にグレードが低いものを用いたときなどの場合に起きる塗膜の剥離(層間剥離)
層間剥離は塗替え塗膜と旧塗膜の間での塗膜剥離現象
トタン板は年間を通じて寒暖の温度差により素材自体の収縮と伸張を繰り替えしています。(この現象は昼間〜夜間でも起きている)
下地素材である亜鉛メッキ面が露出してしまうような塗膜の剥がれかたが起きるのは層間剥離とは異なった要因によるものです。ただし直接的にはその上に塗装されていた旧塗膜が劣化したことも引き金となっています。
塗替えなどにより塗布された塗装面の劣化が始まると塗膜は硬化して割れ易くなり収縮と伸張を繰り替えす下地(トタン)の動きに追従せず塗膜表面に軽微な割れが発生して雨などの水分が侵入してゆきます。下地処理剤のウォッシュプライマーは特性として乾燥塗膜は水分に出会うと著しく効力が劣化してしまうので塗布後は夜露などにさらさないよう当日中に上塗りを行うことが指定されるほど水分には弱い塗膜特性の材料ですのでその上層にある旧塗膜に割れが起きて雨水や空気中の水分が下地処理剤(ウォッシュプライマー)の塗布されている層に浸入すればこの層ごと容易に剥がれ易くなります。
| 水の流路がトンネル状に塗膜下に起きた痕跡 | |
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浸入した水分はやがて下層の下地処理剤(ウォッシュプライマー)の層と下地素材のトタン面へ浸透することで既存塗膜は押し上げられるように剥離してしまいます。さらに露出した亜鉛メッキ面は水分による腐食(白サビの発生)が発生することで塗膜を持ち上げて剥離を助長します。屋根などの場合、行き場を求める水分は勾配に従って塗膜の内側を下方へ流れようとするので塗膜の剥離は上方から下方に向かって大きく起こるケースが見られます。この現象は水の流路がトンネル状に塗膜下に起きた痕跡として既存塗膜が浮き上がって残っていることで確認できます。このような現象は屋根のほか霧除け(ひさし)や下屋などでも起き易く、雨の影響が比較的少ない壁面などではあまり見られません。
錆の最も発生し易い部分は、固定のために打たれている釘頭や板金加工のために折り曲げを行っている箇所のほかテレビのアンテナ周辺や鳥の糞のあとなどの部分的なところです。15年〜20年位一度も塗替えたことのないというカラートタン屋根を塗装する機会が何度かありましたが上記のような亜鉛メッキ面の露出箇所は当然無く、うっすらとした錆が発生している程度でトタン面自体が全体に渡って腐食してしまっているようなことはありません。むしろ豆に塗り替えていたという物件のほうが下地の露出やそれによる錆の発生箇所が多く見られます。これは塗り重ねによる厚い塗膜が劣化して余計に塗膜の割れが起き易くなり、下地からの剥がれを助長したためで美観維持の為に行った塗装が仇となり本末転倒の結果を招いているといえます。
写真は、トタン屋根新設後、12年間一度も塗替えたことのないという屋根。錆が発生している部位は折り曲げ加工部などの一部分のみで、むしろテレビアンテナの屋根馬の方が腐食している。(左写真の赤錆色筋状の痕は腐食した屋根馬からの錆水によるもの)
関連項目
古いトタン屋根の塗膜剥離のメカニズムをイラストで解説したページ 塗膜剥離のメカニズム
補修塗りでの施工
亜鉛メッキ面からの剥離現象を起こさずに塗り替えるためには素地調整において既存塗膜を全て剥がすのが最も有効な手段であり一部で行われるケースもありますが予算や工期の関係上、錆発生部分への対処(ケレンによる錆落とし)と既存塗膜が剥離している部分のみを除去し密着している残存塗膜は残して再塗装されるケースがほとんどです。
素地調整や塗料選択が不適切な場合は施工後1年経過程度で残存塗膜部の剥離現象が認められることもあります。前回塗装時に錆発生部に施された塗膜の密着は良好で全く問題ないという具合です。
| 素地調整=劣化塗膜と錆面の除去作業 | |||
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剥離してくる既存塗膜は可能な限り取り除くことが好ましい | |
| 下塗り…エポキシ樹脂系プライマーの塗布 | |||
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全面剥離、部分剥離により亜鉛メッキ面を露出させた場合などは下地処理剤としてウォッシュプライマーよりも耐水性、密着性、柔軟性(屈曲性)などの点で優れたエポキシ樹脂系のものを用います。既存塗膜が残っている塗り替え用には残存塗膜を侵すおそれのない弱溶剤2液型のものが適します。…弱溶剤系2液型エポキシ樹脂錆止め塗料 | |
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施工後
塗り重ねられる仕上げ塗料は高耐侯で乾燥塗膜にある程度の柔軟性を持った製品(一部の2液形のウレタン樹脂系とシリコン樹脂系塗料)の使用が望ましいのです。
後に同じような現象を引き起こさないためには下塗材と上塗材のそれぞれが機能しなくては意味がありません。
| 上塗り塗料の例 | |||
| 弱溶剤系2液型 ウレタン塗料 |
弱溶剤系1液型 アクリルシリコン塗料 |
弱溶剤系2液型 アクリルシリコン塗料 |
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| セラMレタン(関西ペイント) | スーパーシリコンルーフペイント(関西ペイント) | ヤネMシリコン(関西ペイント) | セラMシリコンU(関西ペイント) |
トタン面の塗替え塗装は下地のトタン板を錆などから保護することと美観の維持が目的です。安価なペンキ(合成樹脂調合ペイント)を用いて短いサイクルでこまめに塗り替えるという発想は保護の点では良いかもしれませんが長期に渡る美観の維持という観点やそのためにかかる費用、手間の面では負担が増してしまうこととなります。
工場生産品であるカラートタンの品質は近年のものの方が表面処理である塗装の質が向上してきていますので予算面での問題もありますが美観の維持という観点では葺き替えでの検討も一考ではあります。
トタン屋根全体の塗り替え施工例
以下は、横浜市栄区A邸築約35年のトタン屋根…心木なし瓦棒葺きの塗り替え施工のようすで、錆の発生箇所と劣化塗膜の浮きハガレが多数、確認されての施工です。
素地調整のケレン作業後、下塗りでのエポキシプライマーとして弱溶剤系2液型エポキシ樹脂錆止め塗料(スーパーザウルス…滑ヨ西ペイント)で下地露出箇所と錆落としを行った箇所を拾い塗り…タッチアップ塗りし、全体に同塗料を下塗りしました。上塗りでは弱溶剤系2液型アクリルシリコン樹脂塗料(セラMシリコンU…関西ペイント)を2回塗りで仕上げています。
| 施工前〜素地調整中 | 錆落とし・劣化塗膜除去 | ||
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| スーパーザウルス(赤錆色)での補修塗り | 下塗り後…スーパーザウルス(グレー色)塗布後 | ||
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| 仕上げ塗り1回目 | 施工後…仕上げ塗り2回目塗布後(グレー色) | ||
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