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建築塗料について

主体となる樹脂による分類

塗料は、もともと自然界に存在する天然の原材料をほとんど手を加えずに用いられていた頃(漆や柿渋など)に比べて現在は石油化学製品などを加工したものがほとんどを占めています。いわゆる合成樹脂を塗料化してもっぱら用いるようになっています。(注=合成樹脂系塗料というと合成樹脂調合ペイント=長油性フタル酸樹脂塗料を指しますが広義にはウレタン、シリコン樹脂系塗料なども厳密には合成樹脂です。)
塗料化するためには本来の合成樹脂の特徴をさらに化学的に変化(変性)させたものが多くあります。

主体となる樹脂 塗料名称 耐侯性 耐薬品性 備考
長油性フタル酸樹脂 合成樹脂調合ペイント △〜○ ×〜△ ペンキとして広く普及してきたが
耐侯性で時代遅れの感がある
乾燥遅い
中油性フタル酸樹脂 フタル酸樹脂塗料 △〜○ ×〜△ 室内用使用は施工面積が限定される
硝化綿 ラッカー △〜○ ×〜△ 耐侯性で時代遅れの感がある
木部建具用などとして使用される
塗膜は薄く硬い=もろい
乾燥は早い
アクリル樹脂 アクリル樹脂塗料 △〜○ △〜○ 耐侯性に時代遅れの感があるが
広く普及し現在も一般に用いられている
塗膜は硬い
アクリル樹脂エマルジョン塗料 △〜○ △〜○ 水性のものは内壁用として適し
一般に用いられている
水性反応硬化樹脂塗料 △〜○ 耐侯性で普及型エマルジョンより勝る
ポリウレタン樹脂 ポリウレタン樹脂塗料 耐侯性でアクリル系より勝る 本来は主材と硬化剤を混合して用いる2液型であるが1液型のものもある
樹脂本来の特性を用途に応じて
変えた(変性)ものが多い
エポキシ樹脂 エポキシ樹脂塗料 × 耐侯性に難があるが鉄部錆止・下塗塗料として優れる
アクリルシリコン樹脂 アクリルシリコン樹脂塗料 フッソ樹脂に次ぐ耐侯性を持つ最近の主流
ふっ素樹脂 ふっ素樹脂塗料 ◎〜 性能は最高位といってよいが非常に高価

樹脂別 塗料について 概要

耐侯性の基準はウレタン・シリコン・ふっ素樹脂系の塗料が出現、普及してきた現在と昔とでは大きくことなります。(塗布後の劣化による変化が確認できるまでの経過年数など)
エマルジョンについては乾燥のしかたによる分類を参考にして下さい。

かつてペンキとして用いられてきたものは油性塗料の「油性調合ペイント」が一般的でした。
油性調合ペイントはボイル油(乾燥性植物油)と顔料を練り合わせた塗料で乾燥時間が大変遅い(24時間以上)のが欠点でしたが色彩が豊富に得られ価格も安価であったため一般に用いられました。のちにボイル油の変わりに合成樹脂(アルキド樹脂)を用いた合成樹脂系塗料が登場しました。油分の多いものを長油性、少ないものを中油性と区分して各々乾燥時間が異なります。「フタル酸樹脂塗料」または「アルキド樹脂塗料」とも呼びペンキと呼べばこれを指し、長油性のものは合成樹脂調合ペイントとして馴染み深く、油性調合ペイントより乾燥時間が早くて性能的に満足のいくものであり広く普及しました。

ラッカーは繊維素塗料とも呼び、硝化綿=硝酸繊維素などを溶剤(強溶剤)に溶かしてできる塗料で透明なものと顔料を含むものがあり古くから建築分野のみならず一般に用いられています。
アクリル樹脂塗料はアクリル酸エステルを重合させてできるアクリル樹脂を用いた塗料でフタル酸樹脂塗料と並び広く普及してきました。
ポリウレタン樹脂塗料は塗料中での樹脂どおしのつながりをウレタン結合と呼ぶ方法をもって連結しているウレタン樹脂を用いたもので耐侯性などの点でアクリル樹脂塗料よりも優れています。
エポキシ樹脂塗料は常温硬化のしないエポキシ樹脂にポリアミド、イソシアネートなどの硬化剤を混合し反応、硬化してできる樹脂を用いた塗料で、付着性、耐薬品性、耐摩耗性、屈曲性に優れています。欠点は紫外線の照射に弱く黄変などを起こすことがあるので仕上げ材ではなく優れた特性を生かして各種下塗用塗料(下地強化用シーラー・非鉄金属用下塗プライマー・錆止め塗料など)に用いられます。
シリコン樹脂塗料は塗料中にシロキサン結合という化学的に強固で安定した結合配列をもつシリコーン樹脂(ケイ素元素(Si)を含むケイ素樹脂)を応用して塗料化され耐侯性などの点でポリウレタン樹脂塗料よりも優れているとされます。

一般にウレタン系などと呼ぶ塗料は「ポリウレタン樹脂塗料」で、シリコン系などと呼ぶ塗料は「アクリルシリコン樹脂塗料」が正式な名称です。
特筆すべき点はシリコン・ウレタン系塗料のどちらもベースにあるのはアクリル樹脂が基本になっていることで、どのように結合させるのかにより塗料としての分別がなされます。高耐侯であることの目安は紫外線による塗膜の樹脂破壊にどれだけ耐えられるかによりますが、樹脂どおしの結合力が一つの鍵となるので「ウレタン結合・シロキサン結合」が用いられているのです。単体のふっ素樹脂・シリコン樹脂ともに耐侯性の点で非常に安定していますがピュアな状態では塗料にはなりません。そのため様々な工夫がなされて建築用に適した塗料にされています。

アクリルシリコン樹脂塗料について

塗料を用いて出来上がる完成塗膜の強度・耐侯性は、使用される塗料中の樹脂の種類によって異なることは承知のことと存じます。(アクリル・ウレタン・アクリルシリコン(一般にはシリコン)・フッソなどの各樹脂で、左から段階的に耐侯性に優れるとされる)
外装に用いる塗料の塗膜の強度・耐侯性は、「塗膜構成要素の種類」と「塗膜構成要素」どうしの連結部分が日光による紫外線の破壊エネルギーにどこまで耐えられるのかによって決定されます。前述の樹脂の種類は、連結部分の構造の違いと連結部分を保護する能力・構造の違いでもあります。
連結部分の結びつきの強さの表現を結合エネルギーとも言い、先に述べた樹脂別塗料の耐侯性への強さの差を表す根源となっています。
結合エネルギーが紫外線の破壊エネルギーを上回れば塗膜の劣化は理論上、起こらないことになりますが、実際に建築用塗装用に使用する塗料としては、紫外線の破壊力への対応のみが出来ればよいのではなく、様々な機能・作業性への要求に適応しなければならず、容易に製品化することは困難です。(これらは塗料メーカーさんが日夜、懸命な努力をもって研究・開発を行っていることですが…。)
現段階で住宅などの外装塗替え塗装工事などに用いられる塗料にあっては、既存の製品の中から選択せざるを得ません。高品位を望まれる場合、お客様によって、費用についての考え方は多様ですが、現実的な価格・コストでの要求に対処できる価格の製品を用いることが一般的ではあります。 耐侯性について上位品とされるフッソ樹脂塗料は、コスト的にも高額である感が拭えず、昨今ではアクリルシリコン樹脂塗料での施工が、まだまだ一般的です。
しかし、一口に、アクリルシリコン樹脂塗料と言っても製品による価格や種類に、ばらつきがあり、実施用における「見栄え・仕上がり感」とその「持続性」が異なるのが現状です。
この点について以下に記述致します。

アクリルシリコン樹脂塗料の「シリコン」は、半導体やガラスに含有するケイ素のことで地球上には大量に存在する物質とされます。「ケイ素」自体は非常に安定した物質なので紫外線の破壊エネルギーでは壊れません。しかし「ケイ素」自体は塗料として使えない物質なのです。
この安定した物質であるケイ素を塗料の構成要素に組み込んだものがアクリルシリコン樹脂で、要素自体(シリコン樹脂)を形づくる接続配列にケイ素を取り入れる「シロキサン結合」と呼ぶ連鎖状の結合配列を持ちます。 シロキサン結合部は紫外線の破壊エネルギーに対して非常に強い特徴を持ちます。塗料の構成要素として単体のアクリルシリコン樹脂は、塗膜化するにあたって何らかの方法をもって連結され塗膜化されます。
この連結は「架橋」とも呼びますが塗布〜乾燥の段階に行われる事象です。ゆえにシリコン系の塗料と言えども、樹脂どうしの連結部分の強弱によって耐侯性の目安が変わります。
最も強い連結方法は、この部分にも「シロキサン結合」を用いることです。この方法を用いた場合、塗料としての密着性などの点でも優れた機能を発揮します。 しかし以下のような理由などから、いくつかの手段に分かれています。

  • アクリルシリコン樹脂塗料と表記のものには、塗布〜硬化反応〜造膜〜乾燥完成塗膜の段階でアクリルシリコン樹脂分がシロキサン結合を行って塗膜化する製品と、乾燥過程で水性反応硬化もしくはウレタン結合によって塗膜化するものと大別される。
  • 前者は強溶剤系の製品に多く、塗布後、乾燥完成塗膜がシロキサン結合されたアクリルシリコン樹脂の連鎖となっているので耐侯性に対して非常に強い。但し硬化剤を用いる2液形であり強溶剤系列の関係から施工中の臭いも強烈である。 塗料としての密着性も優れるが硬化反応終了までに時間が必要となる。
  • 後者は溶剤系列が水性と弱溶剤系に分けられ、弱溶剤系列のものは「硬化剤の必要の無い1液型」と「使用時に硬化剤の配合を必要とする2液型」とに分類される。 水性の場合、乾燥過程で反応硬化樹脂を用いる水性反応硬化型の製品が多い。
  • 弱溶剤1液型の場合も同様反応硬化によるものが多いが安価なものにはこれを用いず、旧来のアルキド樹脂塗料の乾燥過程によるので耐侯性に劣る。
  • 反応硬化(樹脂)とは塗布〜硬化反応〜造膜〜乾燥完成塗膜の過程で塗料中の溶剤分(水性なら水分)の蒸散や、空気中の酸素を取り入れ、塗料中の塗膜構成分を強く結合するメカニズムを持つ樹脂のことである。 硬化剤を必要とせず、液状の塗料を密閉保存した状態では硬化しないので作業者へのメリットは大きいが、乾燥の段階で蒸発してしまう要素が多い分、完成塗膜の塗膜の厚み(塗膜厚)が1回塗りあたりで、やや薄いなどの特徴もある。
  • 2液型の場合、ウレタン硬化剤成分を加えることでアクリルシリコン樹脂分をウレタン結合させるので乾燥完成塗膜自体は、アクリルシリコン樹脂をウレタン結合させた塗料と言える。結合(架橋反応)に必要な成分を硬化剤として加える分、完成塗膜の厚みは、1液型よりも厚く確保される。 但し、硬化剤混合後は強制的に硬化反応が進む関係上、塗料として塗布作業に用いる使用時間に限りがあり、固まってしまうので再使用や保存は出来ないことなどが、作業者にとってデメリットとなる。 2液型の場合もアクリルシリコン樹脂分の配合量については不明であるが正式なウレタン結合を用いていることは明白であり、塗膜強度・耐侯性は、その分だけ確保されるはずである。
  • さらに、「アクリルシリコン樹脂分」の配合量についてはメーカーや製品によってまちまちであり、公表されることもないものである。 これまで述べた点については、水性や弱溶剤系1液型ウレタン樹脂塗料やフッソ樹脂塗料にも、ほぼ同様のことが言える。
  • アクリルシリコン樹脂塗料と言っても多種多様であり、製品コストや性能も、まちまちなのが現状である。

耐侯性への強さを追求した場合、塗料そのものがシロキサン結合による反応をする強溶剤系の製品が優れているとされますが、塗替えに於いての使用では溶剤の溶解力が強いことによる既存塗膜へのトラブル(溶ける・剥れる・ちぢむ等)を起こしがちです。 その上、住宅地での強溶剤系の使用は臭いの問題があり、作業者への負担も憂慮されます。そのような背景にあって開発され、市販された製品が弱溶剤系の製品です。
これまで市販の弱溶剤系アクリルシリコン樹脂塗料は、2液型の製品であっても、アクリルシリコン樹脂をウレタン結合させ乾燥塗膜とする塗料ばかりでしたが、強溶剤系2液型の製品での「アクリルシリコン樹脂が、シロキサン結合による反応をして乾燥塗膜とする」メカニズムを、弱溶剤系にも取り入れた製品も一部メーカーから市販されています。(厳密には「ウレタン結合」との併用による機構)
弱溶剤とは、いわゆる「油性のペンキ」の希釈に用いる塗料用シンナー類のことですが、 強溶剤系列のものより揮発性が低い分、臭いも少なく、引火点が高いので火災の危険も低いメリットがあります。また溶剤の溶解力が、やや低いことから既存塗膜へのトラブルが少ないので塗替え使用での不安が減ります。
これまで記述したものは上塗り=仕上げ塗り塗材として用いる場合に対しての批評に重きを置いており、耐侯性・美観の長期維持には、下地・素地調整や下塗り・中塗りでの適切な対応が重要となります。
「アクリルシリコン樹脂系塗料は、ウレタン樹脂系塗料よりも丈夫で長持ちする上位品」であるとの「イメージ」からか、水性系列の製品を含めて弱溶剤系のアクリルシリコン樹脂塗料の塗替えにおける使用は、普及しています。

2007.9月 追記

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