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鉄部・鉄骨・鋼製部分の塗り替え塗装

   

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鉄部・鉄骨の塗装

放っておけば錆びてくる住宅・建物の鉄部・鉄骨・鋼製部分の塗り替えについて

鉄部は、「どうせ又、錆びるのだから…」とは言いますが…
鉄製の手摺りに発生した錆 ビル入り口付近の鉄扉と周囲 塗り替え塗装前の錆びている鋼製階段 防火扉枠に発生した錆

鉄部は塗装前の錆落としが大切です。

鉄部・鉄骨・鋼製部分の塗り替えについて

【腐食防止のための塗装処理】

腐食してさびた鉄骨画像鉄が錆ることは大抵の方は知っているはずで、その原因が酸や水分などによる所であることも理解されているでしょう。
鉄製品は放置しておけば腐食してしまうので塗装がなされているわけです。腐食防止のために施されている塗膜が劣化すればそこから水分の影響を受けて錆の発生・進行が起こります。
一度発生している錆は完全に除去しなければ再発しやすいので、出来るだけ丁寧にケレン(錆落としなどの素地調整作業のこと)を行う必要があります。錆止め塗料は表層に残留した錆を封じ込めて、錆発生の要因である外界の空気との接触を遮断したり防食効果のある弱アルカリ塗膜(金属セッケン)を構成させることで腐食の進行を防止します。市販されている錆止め塗料には鉛系やエポキシ樹脂系の製品が多数あって鉄部を腐食から防ぐ目的に直接的に寄与します。これらの錆止め塗料の塗膜は太陽光の紫外線による樹脂破壊に対して弱いのでその塗膜を劣化から守るために表面保護層としての上塗りが必要となります。
かつては錆止め塗料には鉛系“油性錆止め塗料”を用い、上塗り(仕上げ塗材)は長油性フタル酸系(いわゆるペンキです)の組み合わせによる施工が一般的でしたが、現在では錆止め塗料に“エポキシ樹脂系”、上塗りはウレタン樹脂もしくはアクリルシリコン樹脂系の組み合わせが標準的と言えましょう。このほうが性能的にも格段に優れています。

【鉄部・鉄鋼面の錆び落としのされ方】

塗装工事では鉄部の素地調整は、その程度により4種類のランク付けがなされており、橋梁などの鋼構造物の重防食などで行われる最上位の1種ケレンでは「ブラスト方」と呼ぶ方法も採用されます。これは目の粗いサンドペーパーの表面に塗布されているような砂粒を素地面に高圧で吹付け、既存塗膜や錆面の除去だけでなく下層の鉄面まで研削するものです。もっとも効果的で理想とする方法ですが機材(ブラスター)を扱ううえに噴射した砂の回収・養生など大掛かりな作業となるのであまり現実的ではなく、住宅建築物の塗替えなどでは手工具・電動工具を併用した3〜4種ケレン程度までが一般的でしょう。
次回までの塗替えサイクルを長く延長するには錆落としなどの必要な素地調整作業を行った上で防錆性能の高い錆止め塗料と高品位な上塗り塗料を用いることです。

≪錆落としの程度=ケレンには種別が定められています。≫

鉄部面の塗替え時における素地調整について
素地調整の種別 作業方法 既存塗膜の除去 錆面・鉄面への研磨
第1種ケレン ブラスト方による 全面剥離 全面研磨・研削される
第2種ケレン 電動・手工具併用 全面研磨される
第3種ケレン
A〜Cまでランク別あり
なし(表面清掃程度)
死膜は除去
錆発生面の除去程度
4種は清掃程度
第4種ケレン 手工具使用

手工具・電動工具による錆落とし作業例

ワイヤブラシでの錆落とし スコッチブライト…研磨布での錆落とし 研磨布での錆落としの拡大表示 電動工具=サンダーとカップブラシによる錆落とし

施工前(錆発生面)

素地調整後(錆除去後)

錆除去前の手摺りの様子 錆を除去した手摺りの様子。その1 錆を除去した手摺りの様子。その2

関連項目へのリンク

鉄部の塗替えに適した錆止め塗料について

【塗替えには「弱溶剤系」製品の使用を…】

錆止め塗料は鉄面から錆を発生しにくくする目的で塗布するのは当たり前ですが、塗り替えでは既存の素地面、施工前の旧塗膜が残っている面積が極めて大きい所が問題です。旧塗膜が残っている面のほか、周囲の取り合い部や近接部には鉄以外の亜鉛、アルミなどの下地も存在します。ここに溶解能力の強い溶剤を用いる“強溶剤系列”の製品や安価で普及率の高い“油性錆止め塗料”や“水性錆止め塗料”などを用いると、旧塗膜の「縮み・しわ・リフティング」の発生や密着不良、層間剥離といった不具合も起こることが考えられます。
鉄鋼面・鉄部下地に直接、塗るならば、厳密には仕上げ塗材も含め、強溶剤系製品のほうが諸性能は優れますが、「塗り替え」では既存塗膜を溶解する恐れの無い「弱溶剤系」製品の使用が適し、トラブルも起こさずに済みます。
よって以下は「弱溶剤系製品」での解説とします。
※補足…「弱溶剤」とは灯油などに似た、ミネラルスピリットなど沸点の比較的高い石油系溶剤の総称で、脂肪族炭化水素類を主体とした芳香族炭化水素類の混合物に属します。刺激臭や樹脂の溶解力は芳香族炭化水素類を主体とするものが多い「強溶剤」よりも低く、市販の「塗料用シンナー」などが該当し、いわゆる“ミネラルターペン”と呼ぶものはこれを指します。塗料の表記に「ターペン可溶」とあるものは塗料用シンナーで溶解・希釈可能な“弱溶剤系列”の塗料です。

【錆止め塗料の必要性について】

鉄部に塗装を施す場合に錆止め塗料を使用せず、直接、仕上げ用の上塗り塗料を塗布した場合、きちんと錆止め塗料で下塗りをしたものと比べると、かなりの早期に下地の鉄面からサビの発生と、それに伴なう塗膜ワレ・剥離が起こります。錆止め塗料は下地鉄面への付着力が強いだけでなく、外気との遮蔽効果を充分に持ち、水分の透湿を分子レベルで遮断する能力に優れることによります。これはケレンによる錆び落とし作業で除去しきれなかった、微量の残存サビ面からの腐食を抑止する効果に関わるもので、水分の透湿は一般の上塗り塗料ならば程度の差こそあれ、必ず起こります。塗膜防水材などの塗膜厚が極端に分厚いのは、これを防ぐためです。
サビの発生を長期間、抑止したいのであれば、入念なサビ落とし作業と、下塗りの錆止め塗料の塗り数・塗布回数も1回だけでなく、複数回とするのが効果的です。

【トラブル回避と「油性系錆止め塗料」】

仕上げに用いる上塗り塗料と下塗りの錆止め塗料との付着性はトラブル回避の点でも重要です。古くから普及している「油性系錆止め塗料」は、比較的、安価な割りに、鉄鋼面の腐食防止効果は高く、1液型なので作業性も良いといった特徴を持ちます。
しかし塗料中成分の錆止め顔料に“鉛・クロム”など人体に有害な成分を含むことや、昨今、多く用いられる「ウレタン樹脂系・アクリルシリコン樹脂系」の上塗り塗料に対して相性が悪く、付着不良を起こすこともあって、上塗り塗材や残存旧塗膜との付着不良の懸念が存在するので、直接、鉄鋼面に塗布し、最近はあまり用いられなくなったペンキ(=長油性フタル酸樹脂系など)を仕上げ塗料とする場合を除いて、その使用は避けるべきでしょう。

【「エポキシ樹脂系錆止め塗料」の優位性】

2液型エポキシ樹脂系錆止め塗料画像1油性系錆止め塗料に代わって、広く普及しているのが「エポキシ樹脂系錆止め塗料」です。
エポキシ樹脂系の錆止め塗料は、接着剤で知られる“エポキシ樹脂”の特性を活かしており、非鉄部などへの付着力が強い上、耐水性・耐アルカリ性・耐酸性・耐薬品性・耐摩耗性などの諸性能に優れた特徴を持ち、錆止め塗料としての防錆力も優れています。
写真…弱溶剤系2液変性エポキシ樹脂錆止め塗料「スーパーザウルス」(関西ペイント(株))

2液型エポキシ樹脂系錆止め塗料画像2エポキシ樹脂系塗料は主材と硬化剤を使用時に混合する2液型の塗料で混合後は時間の経過とともに硬化反応が進み、増粘し固まってしまうので使用時限に限りがあります。(2液性塗料の特徴・宿命でポットライフ・可使時間と呼ばれ気温などにも左右される)
硬化反応に要する時間はメーカーの塗料設計で決定されますが、「2液型」の場合、乾燥までの時間を要するものが多いと言えましょう。 この点は錆止め塗料に要求されるサビ面への深い浸透性・付着性、外気との遮蔽性とも関連付けられます。鉄面素地のほか、非鉄金属・木材・セメント系素地・各種樹脂などへの付着性、広範囲の適応能力を持つことが「エポキシ樹脂系」の優位性です。
写真…弱溶剤系2液変性エポキシ樹脂錆止め塗料「2液型サビカット」(ロックペイント(株))

【「1液型」と「2液型」】

1液型エポキシ樹脂系錆止め塗料画像写真…弱溶剤系1液変性エポキシ錆止め塗料「1液型サビカット」(ロックペイント(株))
「エポキシ樹脂」は主材と硬化剤を混合することで反応硬化し、目的とする樹脂へと成り立つものです。 しかし市販の「エポキシ樹脂系」の錆止め塗料には硬化剤との調合を必要としない「1液型」の製品もあります。一部の強溶剤系製品には硬化剤成分を大気中の酸素に触れると破壊される特殊なカプセルに封じ込んで、初めから主材と同一な溶液に混入し、塗装時に塗布した時に、硬化剤との混合が開始するといった「マスキング技術」を用いた製品もありますが、弱溶剤系製品で一般に市販される一液型のエポキシ樹脂系錆止め塗料は、錆止め顔料に“反応の完了したエポキシ樹脂を配合したに過ぎない”ものばかりです。
このような製品は使用時間に制限が無く、塗布後の乾燥時間も極めて早いことから作業性に優れますが、その分、“素地面への浸透効果や遮蔽能力”と“素地や上塗り塗材への付着性”が「2液型」の製品より劣ります。しかし“塗り替え”目的に於いては、旧来の「油性系錆止め塗料」に比して諸性能に優れており、「気軽に使える錆止め万能下塗り塗料」として満足のゆく処でしょう。
塗装部位の放置・暴露環境が厳しい地域であったり、耐侯・耐久性を重視する場合と、様々な素地・素材の複合する「塗り替え」における万能適応性の点では「2液型」に軍配が上がります。

【「エポキシ樹脂系錆止め塗料」の注意点】

「2液型」の「エポキシ樹脂系塗料」の塗布後の注意点として、低温期(冬季など)での硬化不良があります。硬化反応の時間は温度が高いほど早く、低くなるほど時間を要しますが、10度〜5度以下では反応が進まなくなります。硬化反応が完了していない半硬化の状態に上塗りをされると塗膜不良などトラブルの原因となります。逆に夏季など30度を超える高温期は、塗装部位の温度が50度以上にも達することがあります。極端に早く反応が進んでしまい、やはり塗膜不良=主に上塗り塗材との付着不良の原因となりやすいので注意が必要です。
下塗りされた錆止め塗料の塗膜は、乾燥過程で大気中の水分に触れると表面が白化することがあります。また長期間、放置・暴露された場合を含め、そのような状態に上塗りを行った場合は上塗り塗料の付着不良を招き易く、層間剥離といったトラブルの原因となるので注意を要します。この場合、全面にペーパーがけによる目粗しを行ってから再度の下塗りを要することとなります。

2液型ウレタン樹脂系錆止め塗料画像低温化での施工は避けるべきですが、低温乾燥性を考慮した錆止め塗料として「2液型ウレタン樹脂系錆止め塗料」が掲げられます。低温期の硬化反応はエポキシ系より早いだけでなく、半硬化の状態で上塗りをされても塗膜不良にならないメリットを持ちます。厳密な防錆性能などの点では「2液型エポキシ樹脂系」のほうが優れますから、施工環境に応じた選択をする必要があります。
写真…弱溶剤系2液型ポリウレタン樹脂錆止め塗料「RMプライマー」(水谷ペイント(株))

鉄部の上塗りと仕上げ塗料について

鉄部面は寒暖の温度差や構造によって構成素材面自体の体積変化や動きが起きたりします。これが頻繁に繰り返される部位では強い密着力と耐侯性・耐久性が要求されます。
長期防食のためには優れた錆止め塗料を用い、下塗りである錆止め層を保護する意味から、仕上げ塗料を採用すべきで昨今の主流となっているウレタン・シリコン系の中からでも特に適した製品を用いることが望ましいのです。

【錆止め塗料の保護と上塗り】

「油性系錆止め塗料」でも「エポキシ樹脂系錆止め塗料」であれ、概して錆止め塗料の塗膜は、日光の紫外線による樹脂破壊に弱い面があります。上塗りは美観を整えるだけでなく下塗りされた錆止め層を保護する重要な役割が求められるので、耐侯性・耐久性に見合った製品を適切な方法によって用いなければなりません。樹脂系列ではウレタン樹脂系やアクリルシリコン樹脂系の製品の使用が一般化しておりますが、塗材の選定だけでなく「目付け量、希釈率、塗布回数」のそれぞれが施工後の“持ち”を決定付ける要素となりますから。

≪鉄部塗り替えに適する弱溶剤系の上塗り塗料の例≫

セラMレタン(関西ペイント(株))

ポリウレタン樹脂系

セラMシリコンII(関西ペイント(株))

アクリルシリコン樹脂系
中塗り用 仕上げ塗り用
セラMレタン画像 セラMシリコンII中塗り画像 セラMシリコンII画像

2液型ウレタン変性エポキシ樹脂塗料画像一部のメーカーから弱溶剤系製品で、エポキシ系錆止めとウレタン系仕上げ塗料を合体させた特徴を備えた塗料=「2液型ウレタン変性エポキシ樹脂塗料」も市販されており、錆止めと上塗りを使い分けることなく一種類の塗材による施工が可能です。
しかし厳密な点では、これまで述べてきたようにそれぞれの工程での塗料を使い分ける方法のほうが勝っています。
写真…弱溶剤系2液型ウレタン変性エポキシ樹脂塗料「パワーMレタン」(関西ペイント(株))

多くの塗料メーカーの塗り替えにおける推奨仕様では、錆止め塗料による「下塗り塗布数…1回」、仕上げ材での「上塗り塗布数…2回」が標準的なもので、これは耐侯性・耐久性を考慮した場合の実用最低限度のものと思われます。塗布部位の環境によっては各々の塗り数を増やす工夫も大切です。
一般的な戸建住宅の塗り替えでは付帯する鉄部の規模も多くはなく、鉄部は、「どうせ又、錆びるのだから…」との発想もあるようですが、適切な対応で臨むことで“塗り替えサイクル”の長期化を図ることも可能であり、「エコロジー」にも結びつくことでしょう。

【外部鉄部の塗り替え施工例】

写真は横浜市磯子区にあるアパートの外部鋼製階段の施工例です。

≪外部鋼製階段・手摺りの塗り替え施工例≫

施工前

ケレン中

塗り替え塗装前のアパート階段付近 ケレン中のアパート階段付近

錆止め塗料塗布

施工後

錆止め塗料を塗布したアパート階段付近 仕上げ塗りが済んだアパート階段付近

施工前

ケレン中

塗り替え塗装前の鋼製階段 ケレン中の鋼製階段

錆止め塗料塗布

施工後

錆止め塗料を塗布した鋼製階段 仕上げ塗りが済んだ鋼製階段
外部鋼製階段・手摺りの塗り替え施工現場/横浜市磯子区東町
下塗り材/スーパーザウルス…関西ペイント(株)
上塗り材/セラMシリコンII  …関西ペイント(株)

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