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錆びるメカニズムと錆止め処理考

錆びるメカニズムと錆止め処理考

1.
鉄部面腐食進行のイメージその1 鉄は純粋な形で自然界に存在せず人間の手によって鉄鉱石(酸化鉄)から精錬(還元)されてできたものです。このようにしてできた金属は、みな不安定な面を持っていて空気中の湿気や雨水などの水分に溶け出してもとの安定した状態に戻ろうとします。すなわち鉄は酸化鉄(=錆)に戻りやすい性質があります。鉄部表面を保護する塗膜などが失われ露出・暴露した鉄部が水分に溶け出すことは「鉄のイオン化」であり酸化です。これが腐食・錆発生の第一歩となります。
2.
鉄部面腐食進行のイメージその2 イオン化の進行は腐食の進行です。イオン化した部位と健全部は電気的に不安定なため安定化しようとします。すなわち健全部と腐食部との間に電位差を生じることで腐食電流が流れるのです。これが腐食の進行となります。(イオン化によって電子を放出するため)イオン化が進むに従って腐食部は虫食い状に広がります。薄い鉄部に穴があく孔食と呼ぶ現象も起こります。
3.
鉄部面腐食進行のイメージその3 腐食進行の速度は腐食電流の大きさによります。腐食部と健全部との電位差が大きければ加速度的に進行します。腐食部位が存在しイオン化する要素にさらされていて健全部が残っている以上はその進行は止まりません。イオン化した水分中の鉄分から酸化してできた赤錆は析出して腐食部に堆積します。気温が高かったり湿度が下がれば水分は大気中に蒸発します。錆びたと目視で確認できる状態のものは析出した赤錆(酸化鉄)です。水滴のように目で確認できない湿気程度のものでも同じ現象が起きています。
4.
塗り替え前鉄部錆発生面イメージ 目視で錆びていると確認できる状態ならば鉄部素地面は程度の差こそあれイラストのように虫食い状に腐食が進んでいて、析出した赤錆が腐食部の中にまで堆積しています。鉄部の錆の進行を防ぐということは即ちイオン化を防ぐということです。イオン化に寄与する最大の要因は外気や水分との接触ですのでこれを遮断することが重要となります。そのために塗装が行われるのです。

【 ケレンの程度による違い 】

本項で取上げたように鉄部面の素地調整(ケレン=錆落とし作業等)は大別して4種類に分けられていますが住宅などの塗替えで行われている程度のものと上位である第1種〜2種ケレンでの表面のイメージを比べてみます。

ごく一般的な第3〜4種程度のケレンでは錆発生面の研磨は行われるものの腐食部の完全除去はされないので深部には錆分が残留することとなります。周辺の既存塗膜は密着不良などの劣化が認められるもの(死膜)は除去されますが良好(活膜)であるものは目粗し・足付けの研磨作業を行って残されます。

第1種〜2種ケレンでは鉄部素地面を「ひと皮剥けた」状態にまで研磨・研削しますから腐食部は完全に除去され健全部だけが残ります。塗替えの場合1種であれば周囲の既存塗膜も全て取り除かれます。処置としては申し分ないのですがケレン作業は手間が掛かり、コストアップは否めません。

塗り替え前鉄部素地調整ケレン後イメージ 塗り替え前鉄部素地調整第1種〜2種ケレン後イメージ

【 錆止め塗料による違い 】

現状の塗替え工事で比較的よく用いられている錆止め塗料には大別するとアルキド系(油変成)ベースの鉛系などのものとエポキシ樹脂系の製品が多く、中でもエポキシ樹脂系のものがここ数年多用されていると言ってよいでしょう。エポキシ樹脂系の製品は本来、2液型が普通であったのですが1液型のものも普及しています。高防食を考えた時に素地面の状態が第2種〜4種ケレンでのように残留錆分と腐食による孔食部が残っている場合、乾燥性があまり速すぎる製品は下記のイラストのような状態になります。空洞部と残留錆分を完全に封じ込めなければ再び錆が発生する可能性が高くなるのです。やや乾燥時間の遅い良質な製品(主に2液型)であれば浸透性も高く防錆能力に期待できます。

錆止め塗料による違い比較イメージ 錆止め塗料による違い比較イメージその2

【 鉄部塗替え面イメージ 】

塗替え後の鉄部面塗膜イメージ 防錆に寄与する錆止め塗料は、そのほとんどが日光の紫外線による樹脂破壊には弱い性質を持っています。そのため上塗りに用いる塗料はこの塗膜を十分に保護する役割が必要です。

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