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合成樹脂素材内装建具の塗装

プラスチック素材の塗装について

      
室内の建具は木製のものが一般的ですが時代の変化とともにプラスチック素材(合成樹脂素材)の製品も見られるようになりました。とくにハウスメーカーなどによる住宅建造物では耐久性の向上と製品コストの削減を図るために内外装の各部への合成樹脂素材を積極的に用いています。
見た目・外観に関わる表面の仕上げ材には、木目調に印刷されたフィルム貼りのものや木材と見まごう木目・導管などの凹凸の表現された薄いポリ板を接着してあるものなどがあります。これらの製品は汚れにくく、清掃など日常の手入れも手軽に行えるということがメリットではありますが長年経過してくると徐々に色あせたり、付着した汚れが落ちにくくなってくるといった現象も起こってきます。素材が塗装仕上げによる木製であれば研磨・研削も容易に行えますから塗替え対応も比較的容易に出来ますが、合成樹脂素材の場合は塗装での対応は製品によってかなり限定されます。
建具に限らず、プラスチック素材全般に言えることは使用されている樹脂素材の種別が記載されていない場合、その種類の判定・判別方法が分かり難いことがあります。塗料の密着性が悪くて乾燥塗膜がすぐ剥れてしまう種類の製品は塗装できません(フィルム貼りに採用される軟質塩ビ製品など)。また塗料中の溶剤に溶けてしまう種類のものも不向きです。
建材に使用されている塗装が可能な合成樹脂素材で作られた製品・部位には、一度も塗料の塗られていない未塗装品ならば塗装前に密着性確保の為のプラスチック用プライマーと呼ぶ種類の下地処理剤を塗布する必要があります。この種のプライマーは強溶剤系の製品ですから旧塗膜が存在する部位には使えません(既存塗膜が溶剤に溶けてしまう)。建具などでのプラスチック素材の場合、新品時に塗装仕上げがされていることは少ないのですが不明な時は目立たない場所で試すなどする必要があります。不適であれば細目のペーパーがけによる素地調整を行うなどします。
建具は日常的に開閉などによる動きが加わる部位であり、そのために人手も触れる箇所ですから使用する塗料・塗膜は汚れ難く、耐久性に優れたものが望まれ、仕上がりの美観と塗装後の室内環境(いわゆるシックハウス問題など)も考慮した適切な選択が大切になってきます。

プラスチック素材の建具の塗装施工例

塗装事例として、とある医院の待合室と診療室の建具への施工例を掲げます。ここでの要望・依頼内容は壁紙の張替えと同時に汚れのやや目立つ建具類を塗装することでイメージチェンジしたいとのことでした。施工依頼当初、木製であるとの話でしたが現場調査時に、これらがブラスチック製品であることはお客様も知らなかったようで驚かれていました。もし木目などの表現が印刷によるフィルム貼りのものの場合、仮に塗装仕上げを行ったとしても全面が一様に塗料で塗布されてしまうので見た目の印象・美観に寄与する木材調のイメージが無くなってしまいますのでお薦めしかねますが、このケースでの当該部位の建具・建具枠は木材と同様に導管などの模様が加工表現されている硬質塩ビ製品であることが判明し、未塗装品であると判断されたので建具枠・建具面の色彩選定などはお客様の好みにより決定し休診日となる週末にかけて作業が行われました。

プライマー塗布後の表面 下地処理用プライマー
事例では硬質塩ビ製の建具(ドア)と建具枠への塗装作業です。各部の養生作業を行った後、プラスチック用プライマー塗布作業を刷毛塗りで行います。この塗料は無色透明で、粘度も低い製品です。乾燥時間が早く、塗布乾燥後は塗装前との判別が分かり難いので塗り残しの無い様に手際良く作業を進めます。プラスチック素材は木材やセメント系下地と異なり、塗料の吸収がほとんど無いのでタレないように注意します。強溶剤系ですので作業中の換気には特に配慮が必要です。
ドア額縁部の先行塗装 建具枠への塗装
建具枠とドア本体の額縁部は淡彩色(アイボリー系)が指定されているので、この部分を始めに塗装します。仕上げ塗材は弱溶剤2液型のウレタン樹脂塗料(低汚染型セラミック変成のもの)で行いました。従来のペンキなどよりも乾燥時間が早い塗料ですが2色塗り分け作業となるので一晩放置乾燥して別色のニジミ・溶解を防ぎます。作業中は額縁部の凹部などに塗料が溜まりやすいので注意します。
塗装作業中の様子
ドア本体面へ指示された濃彩色(ブルー系)を塗布します。ここでは前述の通り額縁部とは塗り分けますので縁切り部への塗布作業は刷毛塗りでの作業となります。細部を先行刷毛塗りの後、広い部分を短毛のローラーを用いて仕上げて行きます。2色塗り分けでの境界面の縁切りには養生テープを用いる方法もありますが塗装部位の形状や1色目の塗料の乾燥程度による密着度合いを考慮すると、事例ではフリーハンドのダメ込み作業での方法を選択しています。
施工後の様子(2色塗り分け)
ドアの場合、開閉に伴なう、建具枠などへの接触箇所があるので放置乾燥時間の確保が必要です。作業現場の都合や居住者の生活しているケースなどでは開けっ放しでの長時間の放置乾燥が難しいこともあります。乾燥の早い塗料の使用は、この点に向いていますが先行塗り部分と後から塗布した部分に段差が生じたりムラが発生しやすいので手順の考慮と手早い仕上げを行う必要があります。
カウンター テレビ台 施工後の受付カウンター付近
事例では施主様の希望に従って、建具の他、カウンター・テレビ台等の木部への塗装も行われました。
これら木部面は既塗装面への塗替えです。素地となる旧塗膜は比較的良好な状態ですのでペーパーがけによる素地調整(#180程度)と清掃作業をしてから建具面に用いた仕上げ塗料を用いて仕上げています。
使用した仕上げ塗料(セラMレタン)
ここでは未塗装プラスチック下地への塗装として、内装建具といった美観を要求される箇所への対応方法の例を掲げました。この施工事例では壁紙の張替え作業を伴なうものでしたが張替えの予定日まで数日の間隔があり、それまで通常の営業(診療)が行われるとのことでしたので、この間、人目に触れても違和感の生じないように周囲壁紙面への塗料の付着・はみ出し・ニジミの起こらぬよう配慮をしての作業となっています。

このほかプラスチック素材への適応下塗塗材としては乾燥時間や美観への要求がさほど厳しくなければ2液型のエポキシ樹脂系プライマーを用いる方法もあります。本来これらは外装用に用いる鉄部非鉄金属用のいわゆるエポキシ樹脂系錆止め塗料として市販されている製品の一部です。塗膜の厚みを、ある程度確保することになるので施工部位のプラスチック下地に凹凸や模様・エンボス感が表現されている場合には、塗布によって損なわれることがあります。

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