カラーベスト(コロニアル)やアーバニーなどの窯業系屋根材は工場生産時に塗装仕上げがされた製品です。製品は数10a×数10aの板状で屋根の勾配下端部から上方へ向けて重ね張りされるもので半分程度が意匠部分として露出しています。最新の製品を除き、普及品では全く手入れをしなかった場合の寿命はメーカー公表値で約20年位です。塗膜が劣化し基材自体が水分に合うと吸湿による変形、膨らみ、腐食をおこします。維持のための塗替えは新設後8年〜10年経過時を目安として行い、使用塗料や施工方法によって5年〜12年位の間隔での塗替えサイクルとなるでしょう。ごく最近に製造されたものは超高耐侯(ふっ素・シリコン樹脂系)の塗装処理で仕上げられておりメーカー公表によるメンテナンスサイクルは20年経過以降となっています。このような製品を使用している家屋、建造物はまだ少なく、それ以前の製品の使用による屋根には定期的な塗替えの必要があります。
塗替えにあたって注意すべき点は重ね張りされている箇所の隙間を塗膜で狭めたり完全に塞いでしまうと毛細管現象による雨水の吸い上げが起きたり、残留水分の蒸発が滞り基材の劣化を招く恐れがあります。また塗装前から屋根からの雨漏りがあるときは事前にその原因を調査して補修しなければなりません。塗替えは窯業系の屋根材と付帯金属部に対して行うものですが塗装のみでは雨漏りは直せないものです。
塗替えによる小屋裏(天井裏)の野路などの腐食を危惧される方もあるようですが屋根材の下地は防水ルーフィング材により分離、遮蔽されており、屋根裏、小屋裏の雨漏り以外の水分・湿気の残留、結露が認められる場合、小屋裏、軒裏部の換気(通気)システムに問題があるはずです。日頃から目に付く外壁と違って自宅の屋根の状況はお住まいの居住者ご自身には、はっきりと確認し辛いものです。万一、基材の劣化やその下地であるルーフィング、野字板の劣化進行が著しいと認められる場合は最新の製品を用いて修繕葺き替えを行うことも一考です。
塗装による手入れはコスト面では葺き替えよりもはるかに安価なものです。一方、施工作業にあたっては住宅建築物のなかで最も直射日光や風雨にさらされる屋根材面の塗装は美観の維持、保護の観点で外壁塗替え以上の慎重さが求められると考えます。
高圧洗浄による素地調整作業などは必須であり(これを様々な理由で怠る例も見ますがブラシがけ程度のケレン作業では塗り替えないほうがマシです。塗り重ねは既存塗膜の密着度に頼ることとなり屋根材への塗膜の厚化粧は早期剥離と前述の理由による基材の劣化を招きます)、付帯金属面への塗装方法や事前の修繕作業など、劣化要因の多い屋根だからこそ必要であり行っておくべき予防策でもあります。